平成28年度合格者体験記

ここでは現在、空間情報総括監理技術者の合格を目指しておられる皆さんに、空間情報総括監理技術者試験対策に関する情報を提供いたします。


 「空間情報総括監理技術者への道」合格者体験記

  

1.自己紹介

 

氏  名 : 遠藤浩二

所属会社 : 株式会社かんこう 技術本部 調査設計部

 

専門分野:

1) 空間情報技術を利用した現地の計測調査・分析

  UAVによる災害調査、全方位画像等を利用した道路施設物調査、モバイルGISをベースにしたタブレット端末を利用した計測調査。

 <業務経歴> A警察本部 路側式道路標識・道路標示点検及びGISデータ整備業務

 2) GISに基づくデータ構築・分析

 上水道・下水道・道路・固定資産・都市計画等の各種台帳データの構築・分析。

 <業務経歴> B市 「地震時に通行を確保すべき道路」沿道の耐震不明建築物データ作成業務

        C市 下水道台帳整備業務及び管理システム統合に向けた検討業務

 受験の動機:

1) 自身の目標

 私は、自身の技術力の維持向上に努めることが必要であると考え、課題解決能力や業務対応能力を高めることを目的に、継続的に学習してきました。そして、学習してきた成果を確認するため、資格の取得にチャレンジしてきました。一方、測量技術者(地理空間情報専門技術者)の最上位に位置する「空間情報総括監理技術者」資格は、受験資格要件から、自分には関係がないものと思っていました。しかし、「技術士相当」で受験できると知り、本資格の取得を目標に掲げました。

 2) 入札資格要件への対応

  入札時の資格要件に、「空間情報総括監理技術者」が在籍していることを条件に掲げている場合があり、今までは、他部署の有資格者が管理技術者として参加していました。ところが、その管理技術者の手持ちが多くなると、入札自体に参加できなくなり残念な思いをしていました。しかし、自身が本資格を取得することにより入札の選択肢が広がり、その結果、会社の受注成績に貢献できると考えました。

 

2.受験に当たり事前に準備したこと

1) 過去2回、失敗に至った要因

 自身の学習方法として、過去問題の答案をしっかり作成していきました。ただし、単に作成するだけでなく、会社に在籍されている技術士(空間情報総括監理技術者)に校正を受け、指摘された検討課題は、きっちりと修正した上で、次の課題に進みました。にもかかわらず、各年度で出題された新しい問題に対応できず、過去2回、不合格となりました。そこで、3回目の受験に向けて再度、合格に向けての課題を次のように整理しました。

   課題-1:出題の意図と異なった解答になっていたこと。

         課題-2:解答を伝えた“つもり”になっていたこと。

         課題-3:論文構成の技量が足りなかったこと。

 解決すべき課題を、冷静かつ客観的に整理すると、本当に基本的な内容でした。

  

2) 合格に至った対策

 対策-1:「出題の意図を的確に把握する」

  出題の意図を的確に把握するためには、問題文をよく読むことです。そして、出題の意図に沿って解答の項目出し(キーワードの抽出)と骨子を検討し、整理しました。ここでは、出題の意図とされるキーワードが解答に含まれているかが重要だと感じました。

 対策-2:「伝わる解答を作成する」

  解答を作成する上で注意すべきことは、「伝える」と「伝わる」の違いです。「伝える」は自分本意で、伝えた“つもり”であっても、相手には届いていない場合があります。また、「伝わる」は相手目線で、相手がその言葉をくみ取りきちんと理解できていることになります。せっかく絞り出した解答も、相手に「伝わらない」と意味がありません。自身の解答もこのことを踏まえて、自分勝手な解答にならず、問題作成者に自身の主張が「伝わる」ようにすることを心掛けました。

 

対策-3:「論文のまとめ方を習熟する」

  本試験は、データ等の持ち込みが可能です。よって、答案のレベルを上げていかないと、他の受験者との差別化は難しいと感じます。したがって、ちょっとした勘違いや小さなミスが、合否の上で致命的になるものと考えられます。答案のレベルを上げていくためには、文章の書き方の習熟は当然のこととして、論文のまとめ方を習熟する必要があり、試験勉強の中では常に意識しました。

 3) 文章を書き慣れる習慣

  上記の対策内容を徹底しながら、4月から筆記試験直前までの毎週土曜日・日曜日は、試験勉強に取り組みました。多くの休日を試験勉強に費やしたため、文章を書くことの抵抗は薄れ、非常に効果があったと感じました。また、会社のバックアップとして、合格に向けた会議を開催していただき、その中で、作成した過去問題の解答を技術士(空間情報総括監理技術者)に校正を受けたり、2回の模擬試験で会議室を提供いただいたりと、試験モードに入っていく環境を与えていただきました。その結果、3回目のチャレンジで「空間情報総括監理技術者」資格試験に合格することができました。

  

3.合格してから変化したこと

1) 社会貢献等に取り組む姿勢の変化

 本資格は、技術者自身のキャリアの証明です。積み重ねてきた技術を社会にアピールする自信が付いたことにより、社会貢献にも積極的に参加しようとする意欲は、合格前とは比べものにならないほど出てきました。また、合格したことにより、私自身の取り組みに対する意識が大きく変わりました。例えば、空間情報に関わる展示会の責任者として説明を行うなど、各種団体に自信を持って参加し、活動する様になりました。

 2) 自身の意識の変化

  本資格に合格したら、もう資格取得へのチャレンジは今回で最後だと考えていました。しかし、合格した直後から、新たな目標が湧いてきました。冒頭で述べましたが、私は、「技術士相当」の資格で受験しました。それ故に、次は技術士の資格を取得しようと学習を始め出しました。このように、「空間情報総括監理技術者」の資格の取得は、立ち止まることが「もったいない」という気持ちに変化させました。

3) 自身の職場での立場の変化

 なお、本資格の取得が直接的な要因かは分かりませんが、合格後の人事で部長に昇進しました。これは、「空間情報総括監理技術者」が、人格・責任感・リーダーシップを兼ね備えた技術者のあかしであると評価していただいた成果だと感じています。

  

4.これから受験する人へのアドバイス

 「空間情報総括監理技術者」は、空間情報を扱うスペシャリストであり、国土管理の整備並びにその活用に貢献することが求められています。よって、自身もこの試験をとおして、単に資格を取得できたことをゴールにするのではなく、「地理空間情報分野の高度な技術が求められる計画(調査)・解析、技術監理等の技術的な役割を担う技術者」として役立つことができると共に、自身の課題解決能力や業務対応能力の向上に努めていくことが大切であると、改めて実感しました。

  本資格を取得することは、自身をさらに一歩、先に進めていくことができる資格です。空間情報に関わる技術者のみなさん、ぜひ本試験を受験し、資格を取得してください。「空間情報総括監理技術者」の資格は、それくらい魅力のある資格です。

 

以上 


 「空間情報総括監理技術者への道」合格者体験記

 

 

1.自己紹介

 

 氏   名 : 今西 実 (年齢49歳)

 勤務会社名 : 株式会社アスコ大東 大阪本社 (現 日本インシーク)

 

主な専門とする業務分野、受験の動機など

①専門とする業務分野 ;道路計画、道路設計、一般構造物設計、維持管理計画

②保有資格 ;技術士(建設部門 道路)

③受験の動機 ;土木設計のコンサルタントとして、国・都府県及び自治体が発注するインフラ整備事業に関する設計業務の分野に携わり20数年が経つ。この間、設計環境も電子機器の発達と共に大きく変化した。扱う図面が紙からCAD図へ変化し、2次元から3次元設計へという時代になった。設計の基盤となる地形図も同様に変化し、今や空間全体を電子化し、それを基盤に設計を行う時代になりつつある。そんな時代背景から、今後は空間全体をコーディネイトできる設計技術者であることが必要と考え、その第一歩として空間情報総括監理技術者試験へ挑戦した。 

  

 2.受験に当たり事前に準備したこと

・具体的な学習方法

 ①社内勉強会への参加

  この試験に関する社内の勉強会に参加し、そこでこの試験に合格している先輩方から学習方法や解答案の作成方法、資料の収集方法等を学んだ。この勉強会が社内で立ち上がり4年になる。参加メンバーは、毎年5人程度、私は発足時からの参加メンバー。私は、3回目の挑戦で合格した。合格した年の試験は、受験する意思がなかった。しかし、同様に惨敗続きの他のメンバーから今年も一緒にと即され受験した。そのため勉強会仲間には非常に感謝している。勉強会は、不定期で休日土曜日の開催が主であったが、メンバーとの討論が楽しく、集中的に受験勉強に取組むことができた。また、勉強会の講師となってくれた先輩方の回答例は、大いに役立った。

 ②外部講師を招聘した講習会への参加

 社外から講師を招聘した講習会に参加できる機会があった。その講師の方から、この試験に関するより深い学習方法や模擬試験による添削をして頂いたことが非常に有意義であった。

  回答へのアプローチの仕方や文章の表現方法は、自分の経験外であったため印象に残る講習会であった。

 ・日常業務の中で配慮したこと

 日常は、土木設計業務が主体であるため、定時以降に空間情報に関する雑誌や専門書を多読するように心がけた

・学習時間の確保で配慮したこと

 社内の勉強会には、必ず参加できるように休日の時間を調整した。現実的には休日しか学習時間を確保することができなかった。土曜日の勉強会以外は、日曜日の家族サービス以外の時間を学習時間に充てた。

 

 3.合格してから変化したこと

・個人的な意識の変化

本試験の合格は、技術士に合格したとき以来の喜びを感じた。また私に今年も一緒にと即してくれたメンバーも合格でき喜びも一入であった。当社は、売上割合で建設コンサル7割、空間情報3割の総合建設コンサルタントである。その中で、道路の技術士資格と一緒にこの資格を保有する唯一の技術者となった。今後は、この資格の組み合わせによる他社との差別化、差異化を図り受注に貢献できることになるだろう。そのため、この資格を有したことによる会社や業務での評価が、後人のベンチマークになると思いある種の責任を感じるようになった。

・会社での人事考課、昇給などの変化、社会的な役割・立場の変化など

 ①人事考課、昇給など

  当社では、空間情報総括監理技術者試験に合格した場合、合格一時金(ウン十万)の支給制度がある。この制度も試験へのモチベーションアップに繋がっていることは確か。(合格仲間と旨い酒が飲めました。)

  ②社会的な役割・立場の変化など

 社内的な立場の変化は、道路の技術士と空間情報監理の資格を有していることが参加条件となっている業務への管理技術者や照査技術者登録への要請が増えた。

 社会的な役割という観点からは、道路設計は、設計対象となる地域全体を俯瞰し設計条件を積み上げていく必要がある。そのため空間情報総括監理技術者の資格を有していることの意味が大きく、条件設定等の場面では発注者への説得力に繋がっていると感じる。

  

4.これから受験する人へのアドバイス

 建設業界は、i-Constraction、CIM、空間、3次元、レーザー等をキーワードに今後の社会資本全体の利便性を考慮し大きく変化しようとしている。その中で、建設コンサルタントに求められるものも大きく変わろうとしている。我々は、そんな時代変化の要求に柔軟に答えていく必要がある。また、そこにしか我々の生きていく道はないとも思う。この空間情報総括監理技術者資格は、今後、建設コンサルタント業界を生き抜いていくために必要不可欠な資格になっていくだろう。

  私からは、この資格試験には道路の設計技術者の方に是非挑戦して頂きたい。空間情報は、道路設計に一番身近な分野でありながら、中々踏み込めない分野でもある。しかし、この試験への挑戦過程の中で、空間情報という世界を知ることができ、今までの経験を回顧することでこの分野との接点を見つけることもできる。掴みどころがない世界への入口として、この資格試験を位置づけ、この業界で生きていくための武器を手に入れるために挑戦して欲しいと思う。

  

以上


「空間情報総括監理技術者への道」合格者体験記

  

1.自己紹介

  

氏  名 : 早川 洋子(はやかわ ようこ)

所属会社 : 株式会社パスコ

 

専門とする業務分野:道路の維持管理

 

受験の動機:

技術士(+測量士)でないと受験できない専門性の高さから、この資格があると知った時から資格取得の最終目標に位置付け、受験を考えていた。当時の所属部署では、技術士に合格し受験資格を得られた時点で受験し、当然のごとく合格しており、また、PCでの答案作成・資料持ち込み自由という試験スタイルから、多少スキル不足でも何とかなるのでは?と軽く考えていた。

 まずは難関の技術士を、と思いながら、RCCM(道路)を取得した1年後、所属部署の先輩空総監に「特許を持っているので受験資格があるのでは?」と声を掛けられ、測量協会へ問合せたところ、条件を満たしているとの回答が得られた。

  思いがけず受験資格を得られたところから始まった「空総監への道」は、所属部署(当時)の諸先輩方、社内のほとんどの資格保有者のように平坦なものではなく、3度目の正直、苦節5年の歳月を経て、ようやくゴールに辿り着いた。(いや、ゴールではなく「技術士への道」のスタート。挑戦はまだまだ続く…。)

 

 2.受験に当たり事前に準備したこと

 受験ガイダンス、学習方法の指導、想定問題等の課題と添削指導など、社内の資格取得支援体制が整っているにもかかわらず、業務多忙を言い訳に真剣に受験準備をして来なかったため、当然の不合格が続いていた。合格した年は、運よく年度初めに業務が手薄となり、「これを逃したら後はない(席もない)」と一念発起、定時後の時間を自己研鑽の時間にあてることにした。

 『測量』その他の雑誌の記事を読むにしても、ただ読み流すのではなく、その記事が主張していることは何かを考えることを心掛けた。また、読みながら気になるトピックやキーワードがあれば、インターネット等で調べ、技術の概要や特徴、事例や課題などを箇条書きで書き残すようにした。PPT問題に対しては、想定問題への解答でも完結させた解答を準備できないままで本番に臨んだので、大いに不安だったが、出題に恵まれたこともあり、中途半端な準備の中から使えそうな材料をその場で組み直して答案を作成することができた。

 

 3.合格してから変化したこと

 合格してからすぐに、空総監が資格要件となっている業務の担当になった。経験したことのない業務に携わることで視野が広がり、専門分野に対してもよいフィードバックが出来ると思われる。

  資格取得という目標は達成したので、その点は評価されているが、その他の目標も含めた総合的な評価になるので、直接昇給に結びつくかは不明。資格を取得したことで報奨金(一時金)が支給されている。

  

4.これから受験する人へのアドバイス

 年度が明けてから試験までの約3か月は、とにかく試験準備の時間を作る。自分の考えを自分の言葉で記述する。試験準備は、一つの問題の解答を完璧にするよりは、当日その場で答案を作成するための材料をPCに用意していく感覚で。デスクトップユーザであれば、ノートPCに慣れることも大事な受験対策。たとえ不合格でも、それは合格のための準備期間、無駄にはならない。

以上